「売上目標を達成できていない」「表彰された経験がない」「昔の数字を覚えていない」。
営業職の職務経歴書を書こうとして、実績欄で手が止まっていませんか。
目立つ実績がなくても、担当した仕事、自分で工夫した行動、確認できる結果を整理すれば、営業経験を具体的に伝える職務経歴書は作れます。 数字が分からない部分を推測で埋める必要はありません。
この記事では、主に営業経験のある20代後半〜30代の方に向けて、実績の探し方、状況別の書き方、自己PRの例文、記入用テンプレートを紹介します。
先に押さえたいポイント
- 数字を確認できない場合は、商材・顧客・担当範囲・仕事の進め方を具体的に書く。
- 目標未達の場合は、結果を正しく示したうえで、課題に対して行った工夫を整理する。
- チームの実績は、全体の成果と自分の担当を分ける。
- 例文の数字やエピソードは、そのまま使わず自分の事実に置き換える。
営業職の職務経歴書は、売上や表彰だけで作るものではない
職務経歴書は、履歴書の職歴欄では伝えきれない仕事の内容や経験を、応募先に説明する書類です。ハローワークの作成資料でも、経験した仕事に加え、活かせる能力や自己PRなどを整理する考え方が示されています。hellowork.mhlw.go.jp
営業経験を振り返るときは、売上や達成率のほかにも、次のような材料を探してみてください。
- 誰に、どのような商品・サービスを提案していたか。
- 新規開拓、既存顧客への提案、契約後のフォローのうち、何を担当したか。
- 顧客の要望をどのように確認し、社内へ伝えていたか。
- 商談や見積作成で、どんな点を見直したか。
- 自分で対応できるようになった仕事は何か。
ただし、「実際に行ったこと」と「その結果として生まれた成果」は分けて書きます。 提案資料を作り直した事実だけでは、「売上を伸ばした」とまでは言えません。成果を測っていない場合も、取り組みの内容は説明できます。
「実績がない」と感じる理由を分けてみよう
同じ悩みに見えても、数字が分からない人と、数字はあるけれど目標未達の人では、整理する順番が変わります。
| 今の状況 | 最初に整理すること | 書くときの注意点 |
|---|---|---|
| 表彰や上位成績がない | 担当業務、任された役割、日々の工夫 | 表彰歴を無理に探さず、仕事の内容を具体化する |
| 売上や達成率を確認できない | 確認可能な記録、商材、顧客、担当範囲 | 記憶だけで正確な数字を作らない |
| 売上目標を達成できなかった | 実際の結果、課題、行った対応 | 未達を達成したように書かない |
| チーム単位で成果を管理していた | チーム全体の成果、自分の役割 | チーム売上を個人売上として書かない |
| 営業経験が短い | 研修、商談同席、補助業務、自分で対応した仕事 | 同席・補助と、単独で担当した経験を区別する |
「自分には何もない」とまとめず、まずは一番近い状況から整理しましょう。
書く前に、営業経験を7つの項目で整理する
いきなり自己PRの文章を作るより、仕事の事実を短く書き出すところから始めると進めやすくなります。
以下の表は、営業経験を振り返るための整理用メモです。例に合わせる必要はなく、自分が説明できる内容だけを埋めてください。
| 項目 | 書き出す内容 | 整理するときの例 |
|---|---|---|
| 1.商材 | 商品・サービスの種類、用途 | 法人向けの事務用品、個人向けの通信サービス |
| 2.顧客 | 法人・個人、業種、主な相談相手 | 中小企業の総務担当者、店舗の責任者 |
| 3.営業方法 | 新規・既存、訪問・電話・オンラインなど | 既存顧客への訪問、問い合わせからの商談 |
| 4.担当工程 | 自分が担当した範囲 | ヒアリング、見積作成、契約手続き、導入後の確認 |
| 5.期間と業務規模 | 担当期間、顧客数、案件数など | 担当期間は確認できるが、顧客数は記録未確認 |
| 6.工夫した行動 | 困っていた点と、自分が変えたこと | 見積前に納期・予算・決裁の流れを確認した |
| 7.結果と確認方法 | 数字、実際の変化、確認できる記録 | 売上集計で確認した実績、提案した様式の採用 |
空欄が残っても構いません。「確認できる」「確認が必要」「記録がない」に分けておくと、提出前に見直す箇所が分かります。
数字を調べる際は、閲覧・利用が認められた範囲の記録を確認します。社外秘資料を持ち出したり、顧客名や連絡先を応募書類に転載したりしないようにしてください。
売上以外の数字も、何を表すかを明確にする
売上額が分からなくても、担当顧客数や商談件数などを確認できる場合があります。ただし、それぞれが表す内容は異なります。
- 売上・受注件数・目標達成率:成果を説明する数字。
- 担当顧客数・訪問件数・提案件数:業務の範囲や活動量を説明する数字。
- 研修期間・商談同席回数:経験した期間や学習機会を説明する数字。
訪問件数が多いことだけを根拠に、営業成果が高いとは書かないようにします。数字には、対象期間、単位、個人とチームのどちらの実績かを添えましょう。
「約30社」のような概数も、根拠がある場合に使います。正確な数が分からないときは、「約」を付けて推測を隠すのではなく、顧客の特徴や担当範囲を文章で補ってください。
営業経験を職務経歴書にまとめる5つの手順
材料が集まったら、「担当業務→課題→行動→確認できる結果→応募先との接点」の順に整理します。
1.何を担当していたかを具体的にする
「営業を担当」とだけ書くと、仕事内容が伝わりません。商材、顧客、営業方法、自分の担当工程を組み合わせます。
たとえば、「法人営業」だけで終わらせず、「法人向け事務用品の既存顧客営業として、要望の確認、見積作成、受注後の納期調整を担当」と書く形です。
実際には補助していた仕事を「一貫して担当」と表現せず、自分が判断・実行した範囲に合わせてください。
2.どんな課題があったかを一つ選ぶ
「もっと売りたかった」だけでは、状況が曖昧です。日々の仕事で具体的に困っていたことを選びます。
たとえば、見積提出後に条件の確認が何度も発生していた、商談で聞くべき内容が抜けていた、引き継ぎ時に対応履歴が分かりにくかった、といった場面です。
3.自分が行った対応を書く
「努力した」「コミュニケーションを大切にした」という言葉を、実際の行動に置き換えます。
たとえば、「納期や予算を確認する項目を作った」「商談前に前回の対応内容を確認した」「問い合わせを担当部署ごとに整理して共有した」などです。
自分で提案したのか、上司の指示で実施したのか、チームで作ったのかも区別すると、担当した役割が伝わります。
4.結果は、確認できる範囲まで書く
結果の説明には、数字以外にも使えるものがあります。
作成した確認表が実際に使われた、担当を引き継いで一人で対応するようになった、といった変化は、その事実を確認できれば記載できます。
一方で、効果を測っていない場合は、「ミスを半減させた」「顧客満足度を向上させた」といった成果を足しません。実施した内容や、現在取り組んでいることを説明しましょう。
5.応募先の仕事との接点を添える
最後に、その経験を応募先のどの業務で活かしたいかを考えます。
既存顧客への提案が中心の求人なら、要望の聞き取りや継続した対応の経験。関係部署との調整が多い求人なら、納期や仕様を整理した経験、といったつなげ方です。
マイジョブ・カードでも、自分の経験・強みと、応募先が求める内容を結びつけて自己PRを考える方法が案内されています。
似た仕事の求人を探し、どの経験が求められているかを確認する手順は、市場価値の調べ方で整理しています。
実績に悩む営業職向けの例文4つ
ここからの例文は、書き方を説明するための架空のケースです。運営者や相談者の実績ではありません。 数字、担当業務、取り組み、結果は、必ず自分の事実に置き換えてください。
例文1.売上の数字を確認できない場合
担当業務・取り組みの記入例
法人向け事務用品の既存顧客営業として、定期訪問、見積作成、受注後の納期調整を担当しました。商談前には前回の依頼内容と対応状況を確認し、継続している課題を聞き取ってから提案するようにしていました。価格や納期について、その場で回答できない内容は社内へ確認し、確認できた条件を顧客に説明していました。
この例では、売上額を足さずに、誰に何を提案し、どの工程を担当していたかを説明しています。
数字を確認できない場合も、顧客対応の流れや判断した場面を具体的に書くことで、経験の内容を伝えられます。
例文2.目標を達成できなかった場合
実績・取り組みの記入例
2025年度(2025年4月〜2026年3月)の個人売上は、目標1,000万円に対して850万円、達成率85%でした。期中に失注した案件の記録を振り返り、価格、納期、導入時期のどの条件が合わなかったかを整理しました。そのうえで、見積作成前に予算と希望納期、導入を判断する時期を確認する項目を追加しました。
売上目標と実績を示す場合は、同じ期間・同じ集計基準の数字を使います。この架空例では、850万円÷1,000万円×100=85%です。
取り組み後の売上改善までは、この例文に含めていません。改善効果を確認できていなければ、行動した事実までを記載します。
未達の場合も、仕事の過程で行った工夫を具体化する方法が、dodaの自己PR解説で紹介されています。doda.jp
例文3.チームの実績しかない場合
チーム実績と担当範囲の記入例
チーム実績:法人営業チーム5名で、2025年度の年間売上3,000万円。
自分の担当:既存顧客の要望整理、見積作成の準備、受注後の納期調整を担当しました。問い合わせ内容と回答期限を一覧にまとめ、社内の担当者に確認が必要な案件を共有していました。
この場合の3,000万円は、チーム全体の売上です。個人の売上として記載したり、人数で割って自分の実績にしたりしないでください。
リクルートエージェントも、チームの成果を記す場合には、その中で担った役割や貢献を明確にするよう案内しています。r-agent.com
例文4.営業経験が短く、受注実績が少ない場合
経験した業務と習得状況の記入例
法人営業として6か月勤務し、商品研修、先輩社員の商談への同席、見積作成の補助を経験しました。現在は、既存顧客からの問い合わせ内容の確認と、定型商品の見積案の作成を担当しています。価格条件や納期は上司の確認を受けて回答し、判断に迷った内容は記録して次回の確認に活用しています。
短い経験でも、同席した仕事、補助した仕事、自分で対応した仕事を分けると、習得状況を説明できます。
まだ契約まで単独で担当していない場合は、その工程まで経験したように広げず、現在の担当範囲を示しましょう。
「頑張った」を具体的な自己PRに変える
自己PRでは、「コミュニケーション力」「責任感」「改善力」などの言葉に、実際の行動を添えます。
以下は表現の組み立て例です。行動の内容が自分の経験と一致するものだけを参考にしてください。
| 抽象的な表現 | 具体化した表現の例 |
|---|---|
| コミュニケーション力があります | 顧客の希望条件と未確認事項を整理し、社内の担当者へ確認してから回答していました |
| 責任感を持って対応しました | 問い合わせの回答期限を記録し、期限内の回答が難しい場合は見込み時期を連絡していました |
| 改善に取り組みました | 見積作成後の確認漏れを減らすため、作成前に聞く項目を一覧にしました |
| チームに貢献しました | 営業担当と事務担当の間で、受注内容と納期の確認事項を整理して共有しました |
数字を入れていなくても、行動の対象や方法が具体的であれば、何をしていたのかを説明できます。「その行動で何が変わったか」を確認できる場合は、続けて書き添えてください。
自己PRの短い例文
次も、書き方を示すための架空例です。
私の強みは、顧客の要望と社内で確認すべき条件を整理することです。既存顧客への営業では、希望する納期や予算、未確定の仕様を分けて記録し、担当部署に確認してから回答していました。貴社の法人営業でも、顧客の希望を確認し、関係部署と調整して提案を進める際に、この経験を活かしたいと考えています。
応募先が実際に募集している仕事内容と照らし合わせ、最後の一文を書き換えましょう。経験がない業務については、できると断定せず、関連する経験と今後学ぶ必要があることを分けます。
僕が営業で見直したこと
僕は工場勤務、飲食業を経て、フルコミ営業を経験しました。最初から人と話すことが得意だったわけではなく、売ろうと焦って、相手の話を聞く前に商品の説明を始めてしまうこともありました。
その後は、先に相手の悩みを聞き、課題を整理してから提案することを意識するようになりました。この経験は、フルコミ営業で働いて感じたことでも紹介しています。
相手の悩みを聞き、課題を整理してから提案することを意識した経験を紹介しています。
フルコミ営業で働いて感じたことを読む職務経歴書の材料を探すときも、「営業力がある」という一言でまとめず、どんな場面で、何を見直したのかを振り返ってみてください。
「ヒアリングの順番を変えたこと」と、「その結果、成約率が上がったこと」は別の情報です。変化を測っていない場合は、改善率を付け足さず、実際に変えた行動を具体的に伝えましょう。
運営者の経歴と発信方針は、運営者情報をご覧ください。
運営者の経歴と、キャリハピの発信方針をまとめています。
運営者情報を見る職務経歴書に使える記入用テンプレート
次の順番で埋めると、経験と自己PRをつなげて整理できます。応募先が様式や項目を指定している場合は、その指定に合わせてください。
職務経歴書
作成日:〔年月日〕
氏名:〔氏名〕
1.職務要約
〔業界・商材〕の営業として〔期間〕勤務。主に〔顧客〕に対し、〔営業方法〕で〔担当業務〕を行ってきました。〔確認できる経験・得意な対応〕を、応募先の〔業務〕で活かしたいと考えています。
2.職務経歴
在籍期間:〔年月〜年月/現在〕
会社名・事業内容:〔実際の内容〕
所属・役職・雇用形態:〔実際の内容。業務委託の場合はその旨を記載〕
商材・顧客・営業方法:〔担当していた内容〕
担当業務:〔自分で担当した範囲。同席・補助は区別〕
実績:〔対象期間・単位・個人/チームを明記。確認できない数字は記載しない〕
取り組み:〔課題〕に対して〔自分が行った対応〕を実施。
確認できる結果・現在の状況:〔事実として説明できる内容〕
3.活かせる経験・スキル
〔スキル名〕:〔仕事のどの場面で、どのように使ったか〕
4.資格・学習歴
〔取得した資格・実施した研修など。学習中と取得済みを区別〕
5.自己PR
私の強みは〔強み〕です。〔具体的な担当場面〕で〔行動〕を行いました。〔確認できる結果があれば記載〕。この経験を、貴社の〔求人に書かれている業務〕で活かしたいと考えています。
確認できない項目を無理に埋める必要はありません。実績欄に数字を書けない場合は、担当業務と取り組みの説明を整えます。複数の勤務先がある場合は、それぞれの在籍期間と担当業務を分けてください。
ハローワークの資料では、職務経歴書はA4縦1〜2枚程度が目安として示されています。応募先の指定を優先し、情報を詰め込んで文字を小さくしすぎないようにしましょう。hellowork.mhlw.go.jp
提出前に確認したい7つのこと
書類ができたら、次の項目を一つずつ確認してください。
- 在籍期間、会社名、役職、契約形態が事実と合っている。
- 数字に対象期間と単位があり、個人とチームの実績を区別している。
- 担当、補助、商談同席の違いが伝わる。
- 実施した行動と、確認できた成果を混同していない。
- 社外秘情報や顧客を特定できる情報を含めていない。
- 応募先の仕事内容と、記載した経験の接点を説明できる。
- 面接で「具体的には何をしましたか」と聞かれても、自分の言葉で答えられる。
職務経歴書に書いた経験を、面接でも伝えられるように準備したい方へ。
書類と面接で話す内容をそろえる手順をまとめています。
一人で整理しきれない場合の相談先
ハローワークの職業相談窓口では、応募書類の添削アドバイスも案内されています。書きかけの職務経歴書と応募したい求人を用意し、相談方法を確認してみましょう。
転職サービスの担当者に相談する場合は、「目標未達の経験をどう整理するか」「チームの実績と自分の役割をどう書き分けるか」など、迷っている箇所を具体的に伝えます。
求人探しや応募書類の相談先を選びたい方へ。
転職サービス5社の特徴と、営業職向けの選び方をまとめています。
よくある質問
営業成績が悪くても、職務経歴書は書けますか?
書けます。実際の担当業務と確認できる結果を整理し、課題に対してどんな対応をしたかを具体的に記載しましょう。数字の記入を求められた場合は、実際の数値を使います。取り組みを書いたことだけで、選考結果が決まるわけではありません。
売上や達成率を覚えていない場合、概算で書いてもよいですか?
根拠を説明できる概数であれば、その旨が分かるように記載する方法はあります。ただし、推測した数字を実績として書くのは避けてください。確認できなければ、商材、顧客、担当工程、具体的な行動を中心に説明します。
目標未達の数字をすべて書く必要はありますか?
職務経歴書に、すべての月次実績を並べる必要があるわけではありません。応募先の指定項目には正確に回答し、掲載する実績の対象期間と集計方法を明示してください。好調だった1か月の達成率を、年間の達成率のように見せないことも大切です。
自分の売上がない場合、チームの実績を書いてもよいですか?
チーム全体の実績だと明記し、その中で自分が担当した業務を添えましょう。チーム売上を人数で割った数字や、他のメンバーの成果を、自分の実績として記載しないでください。
営業経験がない場合にも、この例文は使えますか?
この記事の例文は、営業経験がある人を想定しています。未経験の場合は、接客、販売、問い合わせ対応など、実際に経験した仕事から応募先と関係する材料を探してください。営業を担当していないのに「法人営業経験あり」と置き換えるのは避けましょう。
まずは、担当した仕事と自分の行動を書き出そう
職務経歴書で伝えたいのは、これまでどんな仕事を経験し、その中で何ができるようになったかです。
売上や表彰がすぐに思い浮かばなくても、商材、顧客、担当工程、工夫した行動から振り返れます。数字を確認できるものは期間や単位をそろえ、チームの成果は自分の役割と分けて記載しましょう。
まずは、この記事の7項目の整理表から「担当業務」と「工夫した行動」を一つずつ書いてみてください。その事実を応募先の仕事内容と照らし合わせることが、職務経歴書を作る最初の一歩になります。
参考資料
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